RAW動画の再生/調整/静止画保存

本バージョンのDPPでは、RAW動画を動画または静止画として取り扱うことができます。

なお、RAW動画の詳細や注意事項については、RAW動画撮影機能搭載カメラの使用説明書を参照してください。

注意

  • Canon LogまたはCanon Log 3をONにして撮影したRAW動画を静止画として取り扱うときは、Canon LogまたはCanon Log 3がOFFの状態で現像されます。

表示画像の変更

RAW動画ファイルの表示画像を、ファイル内の任意のフレームに変更することができます。

DPP上でRAW動画ファイルは、1枚のRAW画像として調整、保存、印刷などを行うことができます。

  1. RAW動画ファイルを選ぶ

    • サムネイルのアイコンは、[RAW動画サムネイル]です。
  2. 設定ツールパレットを表示する

  3. RAW動画のフレーム選択]で、フレームを選ぶ

    • スライダー操作や、[次フレーム]、[前フレーム]を使用して、表示画像にしたいフレームを選ぶと、表示画像が変更されます。

表示画像を切り出して保存

RAW動画ファイルから、表示画像のフレームを切り出して保存することができます。

  1. RAW動画ファイルを選ぶ

    • サムネイルのアイコンは、[RAW動画サムネイル]です。
    • 表示画像を変更したい場合は、「表示画像の変更」の手順で変更します。
  2. メニューの[ファイル]で[RAW動画から表示フレームを切り出して保存]を選び、表示される画面で[OK]をクリックする

  3. 必要に応じて設定を行い、[保存]をクリックする

    • 保存可能なファイル形式はCRM形式のみです。

注意

  • 新規に保存されるファイルには、元の動画ファイルの画像調整内容は引き継がれません。

複数枚の静止画を保存

RAW動画ファイルから、複数枚の静止画を保存することができます。

  1. RAW動画ファイルを選ぶ

    • サムネイルのアイコンは、[RAW動画サムネイル]です。
  2. メニューの[ファイル]で[RAW動画から静止画を保存]を選ぶ

  3. 必要に応じて設定を行う

    RAW動画の静止画保存]画面

    • 保存範囲の設定]:フレームの保存範囲を設定します。初期設定では表示画像(選ばれているフレーム)1フレームのみが設定されています。設定は[設定]をクリックして表示される[保存設定]画面で行います。

      保存設定]画面

      • フレーム数を指定して保存]:フレーム数を指定して保存します。

        前フレーム数]は、表示画像(選ばれているフレーム)より前に保存するフレーム数を指定します。

        後フレーム数]は、表示画像(選ばれているフレーム)より後ろに保存するフレーム数を指定します。

        なお、[前フレーム数]、[後フレーム数]とも、それぞれ最大10フレームの保存が可能です。

      • IN点、OUT点の範囲を保存]:RAW動画ツール上で選んだ範囲のフレームを、すべて静止画として保存します。
      • 設定が完了したら[OK]をクリックします。

        • 保存設定]画面が閉じます。
    • 出力先フォルダの設定]:静止画が保存される出力先フォルダーの設定を行います。
    • 出力設定]:静止画の出力の設定に関する設定を行います。
  4. 保存する

    • 実行]をクリックすると、手順3で行った設定に従って、出力先フォルダーに動画ファイルと同名のフォルダーが作成され、その中に静止画が保存されます。

注意

  • 動作環境や、保存するフレーム数によっては保存に長時間かかる場合があります。

RAW動画ツールの起動

RAW動画ツールは、RAW動画ファイルの再生や調整を行うツールです。

注意

  • RAW動画ツールを起動させるには、下記の環境が推奨されています。

    最低環境を満たさない場合はRAW動画ツールを起動することはできません。

    • Windows

      • 推奨環境

        • ・CPU:Intel Xeon CPU E5-2687W v3 3.1GHz x 2基以上
          (Turbo Boost使用時最大3.5GHz)
        • ・GPU:NVIDIA GeForce RTX 2080
        • ・RAM:32GB以上
        • ・ストレージ:Read 400MB/s以上のSSD
      • 最低環境

        • ・CPU:Intel Core iシリーズ以上
        • ・GPU:NVIDIA GPUを搭載した環境
        • ・VRAM:4GB以上(8K動画は8GB以上)

      NVIDIA GPUを搭載していない環境(例:AMD GPU、Intel GPU)では、RAW動画ツールを起動することはできません。

    • macOS

      • 推奨環境

        • ・CPU:iMac Pro 2.5GHz 14コア Intel Xeon Wプロセッサ
          (Turbo Boost 使用時最大4.3GHz)
        • ・GPU:Radeon Pro Vega 64(16GB HBM2メモリ搭載)
        • ・RAM:32GB以上
        • ・ストレージ:Read 400MB/s以上のSSD
      • 最低環境

        • ・CPU:Intel Core iシリーズ以上
        • ・GPU:AMD GPUを搭載した環境
        • ・VRAM:4GB以上(8K動画は8GB以上)

      AMD GPUを搭載していない環境(例:NVIDIA GPU、Intel GPU)では、RAW動画ツールを起動することはできません。

  • GPUのドライバは最新版をインストールしてください。
  1. RAW動画ファイルを選ぶ

    • サムネイルのアイコンは、[RAW動画サムネイル]です。
  2. メニューの[ツール]で[RAW動画ツールを起動]を選ぶ

    • 終了するときは[閉じる]をクリックします。

機能一覧

  1. (1)動画を保存](
  2. (2)切り出して保存](
  3. (3)フレーム表示部
  4. (4)保存末尾フレームを設定する(
  5. (5)コマ送り(
  6. (6)再生/一時停止(
  7. (7)コマ戻し(
  8. (8)保存開始フレームを設定する(
  9. (9)フレームを画面に合わせて表示する(
  10. (10)フレームを等倍表示する(
  11. (11)フレームの表示倍率を設定する(
  12. (12)フレーム表示の縮小/拡大(
  1. (13)音声出力のON/OFF(
  2. (14)音量スライダー(
  3. (15)Viewing LUT適用のON/OFF(
  4. (16)フレーム番号/全フレーム数(
  5. (17)OUT点マーカー(
  6. (18)フレーム位置スライダー(
  7. (19)IN点マーカー(
  8. (20)再生時間表示
  9. (21)ツールパレット(RAW動画用)(

再生

RAW動画ファイルは、RAW動画ツールで再生することができます。

  1. RAW動画ファイルを選ぶ

  2. 各種操作を行う

    • (1)コマ戻し
    • (2)再生/一時停止
    • (3)コマ送り
    • (4)再生時間表示
    • (5)フレーム番号/全フレーム数
    • (6)音声出力のON/OFF
    • (7)音量スライダー
    • (8)フレーム位置スライダー
    • 再生/一時停止:選んだ動画の再生と一時停止を行います。
    • コマ送り:1フレーム進めます。動画再生中のときは、一時停止後、フレーム進めます。
    • コマ戻し:1フレーム戻します。動画再生中のときは、一時停止後、フレーム戻します。
    • 再生時間表示:再生時間を表示します。
    • フレーム位置スライダー:左右にドラッグすると、動画再生中、または一時停止中に再生位置を移動することができます。
    • フレーム番号/全フレーム数:現在再生、もしくは表示されている動画のフレームの番号と全フレーム数を表示します。

参考

  • 以下の条件で撮影されたRAW動画は、BT.709の色空間で再生されます。

    • Canon Log(色空間:BT.2020)
    • Canon Log 3(色空間:BT.2020、Cinema Gamut)
  • RAW動画の再生中は、RAW動画ツールのツールパレット(RAW動画用)による調整は行うことはできません。
  • RAW動画の再生中は、Viewing LUT適用の[LUT]を使用することはできません。

任意範囲を静止画ファイルとして保存

RAW動画ファイルの任意範囲を、静止画ファイルとして保存することができます。

  1. RAW動画ファイルを選ぶ

  2. 先頭フレームを設定する

    • スライダー操作や、[コマ送り]、[コマ戻り]を使用して、先頭に設定したいフレームがフレーム表示部に表示されたら、[先頭フレーム設定]をクリックします。
    • IN点マーカー(IN点マーカー)が移動し、動画の先頭フレームが設定されます。
  3. 末尾フレームを設定する

    • スライダー操作や、[コマ送り]、[コマ戻り]を使用して、末尾に設定したいフレームがフレーム表示部に表示されたら、[末尾フレーム設定]をクリックします。
    • OUT点マーカー(OUT点マーカー)が移動し、動画の末尾フレームが設定されます。
  4. 保存する

    • 動画を保存]をクリックして表示される画面で必要な設定を行い保存します。
    • 保存場所は、出力先フォルダーに作成される動画ファイルと同名のフォルダーとなります。
    • 保存形式は、連番の静止画(JPG/TIFF/DPX*)+音声ファイル(wavファイル)です。

      選べる[ファイルの種類]については、下記の点にご留意ください。

      • RAW動画の[HDR PQ]を[ON]に設定時:DPXのみ選択可。
      • RAW動画のCanon Log 3(色空間:BT.2020、CinemaGamut)設定時:DPXのみ
      • RAW動画のCanon Log(色空間:BT.2020)設定時:DPXのみ選択可。
      • RAW動画のCanon LogまたはCanon Log 3(色空間:BT.709)設定時:16bit TIFF形式のみ選択可。

        なお、DPXを選んだときは、[画質]、[出力解像度]、[ICCプロファイルの埋め込み]、[撮影情報設定]の設定を行うことはできません。

        また、DPX形式で保存されたファイルはDPP上で閲覧することはできません。

      DPX:Digital Picture Exchangeの略

    • カメラで音声なしで撮影された場合は、音声ファイル(wavファイル)は出力されません。

任意範囲を切り出して保存

RAW動画ファイルの任意の範囲を、切り出して保存することができます。

  1. 任意範囲を静止画ファイルとして保存」の手順1~3に従って任意範囲の設定を行う

  2. 切り出して保存]をクリックする

  3. 必要に応じて設定を行い、[保存]をクリックする

    • 保存可能なファイル形式はCRM形式のみです。

注意

  • 新規に保存されるファイルには、元の動画ファイルの画像調整内容は引き継がれません。

調整

RAW動画ファイルは、RAW動画ツールのツールパレット(RAW動画用)で調整することができます。

  1. RAW動画ファイルを選ぶ

  2. 調整を行う

    • ツールパレット(RAW動画用)を使用して調整を行います。
    • 設定ツールパレット以外のツールパレット(RAW動画用)は、ツールパレット()と基本機能は同じです。

      各ツールパレットの使用方法を参照してください。

      また、差異については下記の表を確認してください。

      アイコン ツールパレット名称 説明
      基本調整ツールパレット 基本調整ツールパレット(RAW動画用)

      基本調整ツールパレット()との差異は下記のとおり

      • リニア]、[明瞭度]、[顔ライティング補正]の設定不可
      • 階調と輝度の自動調整が不可
      • シャープネス]は[アンシャープマスク]のみ設定可能
      トーン調整ツールパレット トーン調整ツールパレット(RAW動画用)

      トーン調整ツールパレット()との差異は下記のとおり

      • HDR PQ]を[ON]に設定した場合、クリックホワイトバランスの使用不可
      色調整ツールパレット 色調整ツールパレット(RAW動画用) 色調整ツールパレット()と調整可能内容は同じ
      ディテール調整ツールパレット ディテール調整ツールパレット(RAW動画用)

      ディティール調整ツールパレット()との差異は下記のとおり

      • ノイズリダクション]にチェックが入っているときのみ、[輝度ノイズ緩和]と[色ノイズ緩和]をスライダーで調整することが可能(調整範囲:-10~10)
      • 色モアレ低減]の設定が不可
      • シャープネス]は[アンシャープマスク]のみ設定可能
      レンズ補正ツールパレット レンズ補正ツールパレット(RAW動画用)

      レンズ補正ツールパレット()との差異は下記のとおり

      • 色収差]と[周辺光量]の補正について、[撮影]をクリックすると撮影時設定を適用する。
      • 歪曲]はRFレンズを装着して撮影した画像のみ補正可能。
      • デジタルレンズオプティマイザ]の設定が不可
      • 回折補正]、[色にじみ]の補正が不可
    • RAW動画用のトリミング(切り抜き)/角度調整ツールパレット、ゴミ消し/コピースタンプツールパレット、部分調整ツールパレット、設定ツールパレットはありません。
    • 設定ツールパレットを使った調整

      1. HDR PQ設定
      2. Canon Log/Canon Log 3
      3. カラーマトリクス選択
      4. シャープネス設定
      5. 色調整
      6. 作業用色空間選択
      • HDR PQ:HDR PQの設定を行うことができます。[ON]にすると、Windowsの場合は、RAW動画ツールで選択中のRAW動画ファイルがHDR PQで表示されます。なお、HDR PQ表示ができない環境では、[環境設定]の[HDRアシスト表示(動画)]()の設定に基づいてSDRに変換して表示されます。macOSの場合は、RAW動画ツール上で[環境設定]の[HDRアシスト表示(動画)]()の設定に基づいてSDRに変換して表示されます。
      • Canon Log/Canon Log 3:チェックすると、当ツールパレットで、カラーマトリクス選択、シャープネス設定、色調整を行うことができます。対象カメラをRAW動画+Canon LogまたはCanon Log 3をONの設定にして撮影した動画のみです。
      • カラーマトリクス選択:Canon Log 3ではNeutralに設定されます。Canon LogではEOS OriginalまたはNeutralから選ぶことができます。
      • シャープネス設定:シャープネスの設定を行います。
      • 色調整:色相と彩度の調整を行います。
      • 作業用色空間:[Canon Log]または[Canon Log 3]をチェックすると、作業用色空間をBT.709、BT.2020、CinemaGamut(Canon Log 3で撮影時のみ)から選ぶことができます。なお、BT.2020またはCinemaGamutを選んだ場合でも、DPP上でBT.2020表示を行うことはできません。
      • Viewing LUT:RAW動画ツールの[LUT]をクリックすると、ルックアップテーブル(LUT)を適用します。適用すると通常の表示に近い画像で確認することができます。

      注意

      • HDRアシスト表示(動画)]の対象外の画像は、HDR対応ディスプレイ表示時と印象が近づくように、SDRに変換して表示されます。
  3. 保存する

    • 動画を保存]をクリックして表示される画面で必要な設定を行い保存します。
    • 保存形式は、連番の静止画(JPG/TIFF/DPX*)+音声ファイル(wavファイル)です。

      選択可能な[ファイルの種類]は下記のとおりです。

      • RAW動画の[HDR PQ]を[ON]に設定時:DPXのみ
      • RAW動画のCanon Log 3(色空間:BT.2020、CinemaGamut)設定時:DPXのみ
      • RAW動画のCanon Log(色空間:BT.2020)設定時:DPXのみ
      • RAW動画のCanon LogまたはCanon Log 3(色空間:BT.709)設定時:16bit TIFF形式

        なお、DPXを選んだときは、[画質]、[出力解像度]、[ICCプロファイルの埋め込み]、[撮影情報設定]の設定を行うことはできません。

        また、DPX形式で保存されたファイルはDPP上で閲覧することはできません。

      DPX:Digital Picture Exchange

    • カメラで音声なしで撮影された場合は、wavファイルは出力されません。
    • 終了するときは、[閉じる]をクリックします。

注意

  • 本機能で行った調整は、メニューの[調整]タブの[撮影時の状態に戻す]、[最後に保存した状態に戻す]を選んでも、それぞれの状態に戻すことはできません。
  • RAW動画の[HDR PQ]が[ON]に設定されている場合、SDRに変換されて表示が行われます。その際は、画面上に[SDRプレビュー]が表示されます。
  • Windowsで、HDR PQの表示ができない環境では、SDRに変換されて表示が行われます。

    macOSの場合は、[環境設定]の[HDRアシスト表示(動画)]()の設定に基づいてSDRで表示されます。