1-2 カスタムピクチャーとピクチャースタイル2

EOS R1とEOS R5 Mark IIに搭載されている動画設定は以下の表のとおりです。

  HDR撮影(PQ) ガンマ 色空間 SDR/HDR用 グレーディング要/不要
ピクチャースタイル
(全プリセット共通)
しない ピクチャースタイル設定による BT.709 SDR カラーグレーディング不要で使用できる
する HDR PQを基にしたピクチャースタイル設定による BT.2020 HDR カラーグレーディング不要で使用できる
  設定名 ガンマ 色空間 SDR/HDR用 グレーディング要/不要
カスタムピクチャー C1:Canon 709 Canon 709 BT.709 SDR カラーグレーディング不要で使用できる
C2:Canon Log 2 Canon Log 2 Cinema Gamut -- カラーグレーディング前提
C3:Canon Log 3 Canon Log 3 Cinema Gamut -- カラーグレーディング前提
C4:PQ PQ BT.2020 HDR カラーグレーディング不要で使用できる
C5:HLG HLG BT.2020 HDR カラーグレーディング不要で使用できる
C6:BT.709 Standard BT.709 Standard BT.709 SDR カラーグレーディング不要で使用できる
ワークフロー上の位置づけ

カラーグレーディング不要の動画とカラーグレーディング前提の動画

EOS R1/EOS R5 Mark IIで設定できる動画は、カラーグレーディング不要の動画と、カラーグレーディング前提の動画と、大きく2つの設定に分けることができます。

  • カラーグレーディング不要:カラーグレーディングがなくてもそのまま使用できる画作り設定。カラーグレーディングする時間や必要がない場合など効率重視の場合に使用。ピクチャースタイル・カスタムピクチャーともにコントラストや色の調整はカメラ内で可能。ノイズやトーンジャンプが発生することがあるため、カラーグレーディングで大きく露出や色、コントラストを変える場合には向いていません。
  • カラーグレーディング前提:Canon Logと呼ばれる、撮影時に広いダイナミックレンジや色空間で記録し、ポストプロダクション(ポスプロ)時のカラーコレクション(色調整)でそのデータを活かした編集をすることを前提とした設定です。コントラストや彩度が低いためそのままでの使用には向いていません。

また、Canon Logよりも簡単にポストプロダクションでのカラーグレーディングのスタート地点として使用できるガンマ設定として、Canon Log 2/Log 3からカラーグレーディングソフト上で変換ができる設定(CMT 709/CMT DCI/CMT PQ/CMT HLG)のLUTが用意されています。

SDR用設定とHDR用設定

ピクチャースタイル、カスタムピクチャーそれぞれに、使用するディスプレイや動画が視聴される環境に合わせて撮影できるように、SDR用設定とHDR用設定があります。

またCanon Log 2/Canon Log 3ではカラーグレーディングにより、SDR動画に編集することもHDR動画に編集することも可能です。

画作りの方向性

各設定は画作りの観点で大きく、シネマ(フィルム)寄り・静止画寄り・放送寄りの3つに分かれます。

ユースケースやワークフロー、好みに合わせて選ぶことができます。

RAW動画記録時に反映される設定

内部記録RAW撮影設定時には、ピクチャースタイル、またはカスタムピクチャーを設定可能ですが、記録されるRAW動画ファイルには、ガンマや色域は反映されません(プロキシ動画撮影設定時は、プロキシ動画にはガンマや色域が反映されます)。また記録されるダイナミックレンジはカスタムピクチャー時には約1600%、ピクチャースタイル時には高輝度側・階調優先の設定によって変わります。

HDMI-RAW設定時にはカスタムピクチャーのみが使用でき、プロキシ動画にのみカスタムピクチャーのガンマ設定が反映されます。